BE・ME 2012年7月号

BE・ME

BE・ME 2012年7月号

兵隊先生-沖縄戦、ある敗残兵の記録-

1945年の沖縄。戦闘で瀕死の重傷を負ったある日本兵は、沖縄の人々に匿われ、米軍管理下の避難民キャンプで小学校教師になりました。沖縄の人々と日本兵の交流を描いた感動の実話です。

実はこの本の著者は、主人公の長男です。ボーン上田記念国際記者賞、日本新聞協会賞などを受賞した朝日新聞の元記者で、その経歴と実力をもって、自分の父親の希有な体験を一冊の本にまとめました。誇張や感傷的な表現が少ない新聞記者らしい文章は、戦時下という非常事態の渦中にある人々を淡々と描写します。その視線は限りなく優しく、歴史の渦の中でも人間らしい心を忘れない人々が、沖縄にも本土にもそしてアメリカにもいたことを教えてくれます。

主人公のその後に触れたあとがきも必読です。

書斎探訪

作家、詩人、学者、俳優、デザイナー、シェフ…。文化をリードする各界20人の書斎を訪れ、インタビューを試みています。

取材される側にとって馴染みのある自分の書斎にいるので、リラックスした受答えになっていて興味深いです。いい空間にいい生き方があります。

孤族の国-ひとりがつながる時代へ-

個を求め、孤に向き合う人々を追ったルポルタージュです。

団塊世代の高齢化、単身者の急増、相次ぐ孤立死…それに、格差や貧困が加わり、今、恐るべき勢いで社会のかたちが変わってきています。たとえ家族がいたとしても、孤立が忍び寄る時代です。

この本の中では、南伊豆町で『親孝行代行サービス』を始めた男性も紹介されています。買い物の代行などをしながらお年寄りに声をかけ、遠くで暮らす子どもにその様子をメールで知らせる、無理のない「見守り」を始めたそうです。

台所防災術-がんばらなくても大丈夫 被災からふつうの暮らしにもどるまで-

非常時に必要な暮らしの備えを、平常時の台所目線でまとめた本です。料理研究家である著者は、親子でともに阪神・淡路大震災での被災経験があります。

無理をせずに、しかし確実に生き延びるために、ぜひご一読ください。