ボイスキュー2019年11月

ボイスキュー

ボイスキュー2019年11月

10月27日から11月9日までは読書週間です。今年の標語は「おかえり、栞の場所で待ってるよ」です。図書館には最近行っていないという方も楽しめる展示を行っています。今回は11月から始まった図書館職員おすすめ図書の展示「読んでホクホクお芋もいいけど読書もね!~おとなの課題図書2019秋冬~」からご紹介します。

抽斗のなかの海

デビューから10年、芥川賞作家はじめてのエッセイ集、と帯にあります。著者の朝吹さんが初めて発表したエッセイ「放心」は、三島に旅した一晩を描写したものでした。『川上も川下もなくひたすら流れてゆくだけの川があればいいのにと思う。川筋が途切れてしまうと帰らねばならないから(後略)』上質な筆致で自己解放を願う密やかな情熱を綴る力量に、本人の願望とは逆に着実に積み重ねてきた10年分の成長を感じます。

ニッポンのはたらく人たち

静岡出身・在住の写真家が、働く人を撮った写真集。一つの会社で働く仲間を一枚に収めた集合写真。一瞬で撮られた写真はとても楽しく、生き生きとした表情はこちらを元気にさせます。この職業楽しそうと思わせる写真集です。

ジェニィ

主人公の男の子は、交通事故にあい、猫に変身してしまいます。カフカのように大きな虫になったわけではないけれど、野良の白猫として生きていくのは大変で…。猫としての暮らしの中で、いろんな猫と出会い、衝突や初恋を経験し成長していく少年の姿をあたたかく綴ったファンタジーです。作者は何十匹も猫を飼っている猫好きなだけあって、さすがの猫目線。猫の世界が自然に感じられます。