ボイスキュー2023年11月

ボイスキュー

ボイスキュー2023年11月

三島市立図書館一般コーナーでは、毎月、様々な企画展示を行っています。今回は、11月12日(日)に、三島市民文化会館小ホールで開催される「しずおか連詩の会2023 」に関連した展示を紹介します。連詩とは、複数の人で短い詩をリレーのように連ねていく創作現代詩です。伝統の中で培われた連歌や俳句の美学をもとに、新たな詩の可能性を探ろうと三島市出身の詩人・大岡信さんを中心にはじまりました。「しずおか連詩の会2023 in 三島」には5名の詩人や歌人が参加されます。今回は、その中から3名を紹介します。

詩人 野村喜和男さん

 野村さんは、戦後世代を代表する詩人の一人として現代詩の最先端を走り続けています。「しずおか連詩の会」では、2009年より創作の場をまとめるさばき手を務め、今回で18回目の参加となります。書肆山田から出版されている『薄明のサウダージ』では、第38回現代詩人賞を受賞しました。野村さんから紡がれる言葉をゆったり楽しみたい作品です。

詩人 田原さん

 中国江南省出身の田原さんは、中国語の詩集も出されている詩人です。「しずおか連詩の会」には、2回目の参加です。思潮社から出版された『石の記憶』は、田原さん2作目の日本語の詩集です。日本現代詩人会が主催し“現代詩の芥川賞”と言われるH氏賞を受賞しました。田原さんにとって母国語ではない日本語の詩の創作は、さまざまな挑戦の果てに辿り着いた境地が表現されています。魂が込められた一篇一篇の詩の世界観をお楽しみください。

歌人 岡野大嗣さん

 初めて「しずおか連詩の会」に参加される岡野さんは、今回唯一の短歌を詠まれる歌人です。書肆侃侃房から出版された『たやすみなさい』では、なにげない日常を切り取って歌にしています。些細な出来事は壊れやすい奇跡であり、放っておけば指の隙間からこぼれ落ちてしうかもしれない瞬間を、すくいとった作品の数々を楽しめます。